プロジェクトから知る、
自治体向けITの魅力

住民サービスを支える基幹系システムや、自治体運営を支える内部情報系システムなど、自治体向けに数々のITサービスを手がけるGCC。ここでは最近のプロジェクト事例を通じて、その意義や魅力をご紹介します。

CASE.01

東京クラウド(三鷹市・立川市・日野市)構築プロジェクト

プロジェクトの概要
東京都の三鷹市、立川市、日野市の3市において、住民情報システムをクラウド方式にて共同利用していくという新たな方針が立てられ、その新システムの提案にGCCが参加表明し、受注となってはじまった本プロジェクト。受注後、キックオフから約1年8ヵ月をかけて環境構築や各業務の仕様調整が行われ、2021年11月には三鷹市と日野市で、2022年1月に立川市で、統一仕様での稼働がスタートしました。

本プロジェクトで見据えた将来ビジョン

共同利用でまず目指したのは、システム導入費やカスタマイズの抑制などによる総コストを抑えることです。かつ、システムの安定基盤の確保も同時に実現させ、住民サービスの質的向上・利便性の向上も目指していきました。さらには、スマートシティ推進の基礎構築や先進技術での業務効率化といった点も、計画段階から見据えて実施していきました。

そして、コスト削減と住民サービス向上の両立というこの狙いをさらに広げていくために、他団体に今回の共同利用への参加を提案していくことも想定して構築。2022年1月に、新たに4市目として小金井市が参加する調印式が行われました。

本プロジェクト推進のための注力ポイント

もっとも重視したのは、3市と協議して定めた方針を、GCCの各業務SEや自治体側での実際のユーザーにいかに徹底してもらうかということ。ですが、3市それぞれに要望や思惑は異なるため、それぞれの意見をどのようにまとめて方針を定めていくかが大きなポイントとなりました。

さらに、キックオフを行おうとした矢先にコロナ禍に突入。いかに安全に、かつ進捗に遅延が生じないよう調整することが求められました。当初はWeb会議になれないメンバーも多く、コミュニケーションがうまくとれずに苦労しましたが、粘り強く続けていくことで、なんとか仕様調整を行っていきました。

リリース後の運用面で徹底したポイント

運用フェーズになっても、導入時から使用しているコミュニケーションツールを継続して活用し、問い合わせはサービスデスクに来るよう一本化しました。各市からの問い合わせを業務SEが個別に対応した方が早い場合もありますが、それでは従来と変わらず、各市間での情報共有がなされません。問い合わせを一本化して3市統一の意見として課題管理を行うことで、情報共有を活性化させて将来的な問い合わせ件数を減らし、業務効率化の実現を目指しています。

プロジェクトマネジメント部
プロジェクトマネジメントグループ
システムエンジニア
吉光寺 哲也
プロジェクトを振り返って
本プロジェクトに、私はプロジェクトリーダーとして参加しました。共同利用とはいえ、新規導入で3市まとめての稼働となったので、いろいろな調整事項があり、戸惑うことも多くありました。そのため、この大きなプロジェクトをなんとか稼働させることができたという思いが強く、嬉しいというよりもホッとしたのが正直な気持ちです(笑)。
また、今回はシステムの提供と合わせて、住民が読みやすくわかりやすいユニバーサルコミュケーションデザインの帳票や窓口サービスの拡充、データの利活用といった提案も採用されているので、今後はこれらの導入効果も積極的に追いかけていきたいと思います。

CASE.02

「e-SUITEv2」人事給与システム開発プロジェクト

プロジェクトの概要
GCCの主力商品の一つ、「e-SUITE(イー・スウィート)人事給与システム」。2004年のリリース以降、多くの自治体から評価され、群馬県、埼玉県、東京都多摩地区ではシェアNo.1を獲得しています。しかし長年の経過で、度重なる制度改正や、導入時のカスタマイズによるシステムの複雑化、自治体側での人事給与業務の移り変わりなど、現行のシステムでは対応困難な事象が発生。こうした課題を解決すべく、次期バージョンの開発プロジェクトが2020年に始動しました。

本プロジェクトで見据えた将来ビジョン

多くのお客さまにご利用いただくことで、自治体向け人事給与システムのデファクトスタンダードとなること。そして、国が推進する「自治体情報システムの標準化」の取り組みへの貢献にもつなげることを狙いとしました。そのため、人事給与システムの全国シェアNo.1となることを意識して仕様を検討。GCCのデータセンターを利用し、LGWAN-ASP(※)としてサービス提供が行えるよう、クラウドサービスでの提供も可能にしました。これにより、これまで主に関東圏に限定されていた市場を全国へと広げる足掛かりとしています。

※LGWAN-ASP……行政専用のネットワーク「LGWAN」上で提供されるASPサービスのこと。

本プロジェクト推進のための注力ポイント

現行システムは多くのお客さまからご好評いただいているため、その良さや強みをスポイルすることなく継承するという点を重視しました。一方で、現行システムが抱える課題の克服や新たな機能の実装には、システムの根幹に係るような変更の必要もあり、どのような手順や手法を用いれば現行システムと同等の品質を維持できるのか、常に注意を払いながら進めていきました。

また、システムの仕様に係る意思決定の際は、ユーザーにとって価値があるのか、ユーザー目線で決めることを意識。そのため、多くのメンバー・協力者と協議して意見を集約しながら開発を進めました。

リリース後の運用面で徹底したポイント

今後の運用面で徹底したいのは、カスタマイズの極小化です。お客さまの要望を受け実装する機能は、なるべく個別カスタマイズするのではなく、本システムを利用するすべてのユーザーが使用できる標準機能として拡充することを想定。日々進化する機能を、より多くのお客さまにご提供することで、お客さま側での改修費用の削減を目指しています。そこでGCCでは、開発チームと保守チームが連携して過去のカスタマイズ事例を精査し、どういったものが標準機能で代替できるのか、先行して整理を進めています。

総務事務システムソリューション部
開発支援グループ
システムエンジニア
高野 圭介
プロジェクトを振り返って
開発プロジェクトとしては、大きな問題もなく完成を迎えることができ安堵していますが、一方で、お客様先での本格稼働が開始するこれからが本番だと感じています。多くのお客さまから実際にご利用いただき、事務効率化や有用性を認めていただけてこそ、システムの真価が評価されます。開発当初から見据えたビジョンが現実のものとなるよう、今後も邁進していきます。
また、今回のプロジェクトは私がこれまで参画したなかでも大規模なもので、プロジェクトメンバー以外でも数多くの協力者が開発作業に携わりました。皆さんの協力なくしては成功できなかったので、とにかく感謝の気持ちでいっぱいです。

CASE.03

AIによる保育所入所選考システム開発プロジェクト

プロジェクトの概要
保育所⼊所選考は、どの⾃治体でも毎年膨⼤な時間と⼈員を費やしている業務です。数百⼈単位の⼊所希望児童の申請書を整理し、両親の就労状況や収⼊など多くの条件をもとに優先順位を決め、児童⼀⼈ひとりの⼊所先を割り振っていきます。作業には数百時間かかることもあり、もちろん、ミスは許されません。この煩雑かつ複雑な業務を、AIによるシステムで解決しようとはじまったのが本開発プロジェクトです。

本プロジェクトで見据えた将来ビジョン

これからの人口減少に伴い、自治体職員の人数も減少することが予想されます。そのため、本システムで自治体職員の入所選考業務の負担を軽減することで、選考結果の確認や保護者への説明など「人にしかできない業務」に注力できるようにしたいと考えました。さらに、保護者への選考結果通知までの時間短縮や、ひいては待機児童の減少などに寄与していくことも狙いとしています。

また、児童の優先順位を決めるための指数の計算方法は自治体ごとに異なっているため、どの自治体でも指数の計算を効率的に行えるよう、新たなパッケージシステムも現在開発中です。

本プロジェクト推進のための注力ポイント

自治体へのヒアリングを実施し、入所条件を厳密に定義しましたが、その複雑な入所条件をプログラムでどう落とし込むかが最大の難所でした。たとえば、兄弟で同じ保育所に入所できるよう希望順位を下げるのか、一人でも第一希望に入所させるのかなど、さまざまな条件が絡み合います。想定されるあらゆるパターンの条件を、一発で計算させるためにどうするか、チーム内で多くの議論を重ねていきました。

また、できあがったプログラムで正しく選考できたのか判定するために、サンプルデータも一から用意し、手作業で結果を照らし合わせ、3ヵ月にわたって検証していきました。

リリース後の運用面で徹底したポイント

自治体職員が扱いやすいよう、システムの操作方法は手軽さを追求しました。登録方法は、申請書の内容をCSVのフォーマットに沿って入力するだけの形に。個人情報はシステム上に入力せず、さらに最新鋭の設備がそろうGCCデータセンターでデータを管理することで、万全なセキュリティ体制も実現しています。

本格的なリリースはこれからですが、某市において導入の実証実験をすでに開始。実際に利用したお客さまの声をもとに今後ブラッシュアップを行うことで、全国の自治体でも使っていただける製品を目指していきます。

先進テクノロジー推進部
システムエンジニア
高坂 知寛
プロジェクトを振り返って
画像認識などAIについて調査・研究していたこともあり、また入所選考の課題や自治体の苦労は以前から聞いていたので、そんな意義ある本プロジェクトにぜひ参加したいと手を挙げました。
今回の開発では、検証のために正解データを手作業で作成していきましたが、そのたびに自治体職員の方々がどれほど大変な作業をしているのか実感しました。途中、プログラムで対応できないのではと思うこともありましたが、この困難な作業をなんとか軽減してあげたいという強い気持ちを持てたことで、前に進めることができました。今回のシステム導入によって、住民の幸せにつながっていくと嬉しいですね。

ITを通じて自治体に
寄り添うことを重視するGCC。
そのため、開発して終わりではなく
運用しながら新たな課題を
模索することで、
地域に貢献するソリューションを
追求しています。

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